うつ病 私の場合

目次

1 はじめに

ここでは、私自身 の うつ病 体験について連載にして書いていきます。
うつ病 の 発症から寛解 までの道のり、そして、うつ病 を 二度と再発させないための工夫などについても書いていく予定でいます。
この連載記事をとおして、うつ病 患者さん や 双極性障害 の患者さん に少しでも役に立てられれば幸いです。

2 うつ病 の 経緯

2.1 はじめての うつ病

  • はじめて うつ病 と診断されたのが1995年8月。
  • この時の診断は、「身体性症候群を伴わない軽症うつ病エピソード」と診断されました。
  • つまり、割と早く2~3週間程度で回復することが出来ました。
  • しかし、私は単に「疲労が重なって精神的に疲れていたからだろう」と考えていました。
  • この時はまだこの病気の怖さを何一つ考えてもいませんでした。

2.2 2回目の うつ病

  • 2度目の うつ病 は2003年12月。
  • この時の診断は、「精神病症状を伴わない重症うつ病エピソード」と診断されました。
  • 仕事に復帰するまでに約1年程度の時間が掛かりました。
  • この時も、私は単に「疲労が重なって精神的に疲れていたからだろう」と考えていました。
  • 悩みや問題を解決することが病気を克服するすべてだと信じていました。
  • この時も未だ病気の本当の怖さについては何一つ考えていませんでした。

2.3 交通事故

  • 2013年6月に交通事故に遭遇。
  • 慢性疼痛で苦しむ時間が2年ほど続いた。
  • 事故後、抑うつな気分が生じていた。

2.4 3回目の うつ病

  • 3度目の うつ病 は2015年1月。
  • この時に診断は、「反復性うつ病性障害 現在中等症エピソード」と診断されました。
  • 仕事に復帰できるまで2年ほどの時間を要しました。
  • さすがに3度目の うつ病 になると自分自身の内面の問題であることに気付きました。
  • 自身の病気をとおして、こころ の病気と精神療法について研究を進めていく決意をしました。

 
簡単にこれまでの うつ病 の経緯をまとめるとこんな感じになります。
私の場合、ほぼ10年周期で うつ病 を発症していることが解ります。

3 寛解に要する時間 と 発症回数

発症回数とそれぞれの回数ごとの寛解に要するまでの期間(週)をグラフにしたのが下の図です。
0014.jpg
 
これを見ると明らかですが、発症回数が増えるごとに寛解に要するまでの時間が長くなっていることが解ります。
1回目から2回目の発症で寛解に要する期間は 2回目は1回目の3.5倍、3回目は2回目の2.0倍の寛解期間が必要となっています。
話しを単純にするために、発症回数と寛解までに要する期間が比例関係にあるとしてこれを予測すると、4回目では寛解までに約4年の時間がかかる計算になります。
 
このことから言えることは、うつ病 の発症回数が増えるごとに高橋(高梨葉子, 2002)1 が述べているとおり症状が重症化していくことが言えるのではないかということです。また、高橋は、うつ病は再発を繰り返しやすく,病相を繰り返すたびに慢性化し,社会的能力がいよいよ低下していくことを指摘している。

4 意欲の低下 と 意欲を持つ ということ

うつ病の特徴の一つとして、意欲の低下 が挙げられるが、うつ病を患っている間に意欲の低下を感じたと思われる時間を「意欲低下時間」と定義し、発症回数ごとに「意欲低下時間」との関係を表したものが下のグラフである。

0015.jpg 
このグラフを見ると、発症回数を重ねるごとに「意欲低下時間」が増加するということを表しており、上述の寛解に要するまでの時間と意欲低下との間には当然関連があることが解る。意欲が低下している状態から意欲を湧かせるためには、「好きなことをする」ということになるが、 「~をする」 という行為自体が 意欲を持たなくてはできない ことである。その為、 意欲を湧かせる一つの方法 として以下のようなことを試みた。
 

  • 家族や友人など、何の話題でもよいので人の話を聞く(テレビやラジオでもよい)
  • 芸術鑑賞(写真、絵画、焼物などを鑑賞する)
  • 音楽鑑賞(自分が聴いてみたい音楽を聴くのがよい)
  • 少しでも気が向いたら家族と散歩や旅行にいく
  • 少しでも気が向いたら一人で外に出て光を浴びる

 
私の場合、このようなことを繰り返しました。そして、いつの間にか机の前に座れるようになり研究活動を行うことが出来るようになってきました。ここまできてはじめて、自分の意思で「~をしてみたい」という意欲を持つことができるようになってきました。
 
一度意欲が低下すると、意欲を取り戻すのに時間が掛かります が、焦らずに少ずつ自分の行動を変えていくことが良いと思います。ある程度時間が経って意欲が出てきてから、 自分自身の思考の癖などを振り返ることによって、同じ過ちを防ぐことが可能 になります。これを 認知行動療法 と言いますが、自分の行動の癖が思考からくることを自覚し、自身の認知を修正することが 再発を予防 することに繋がります。
 

5 うつ病 の 怖さを知る

私の場合、最初の うつ病 の時はそれほどあまり深く考えていませんでした。単に疲労が重なって精神疲労を患っただけで「すぐに良くなる」と思い込んでいました。確かに、病院で薬をもらって薬を飲み続けることで気持ちが楽になりました。それと共に睡眠を十分に取ることが出来るようになって安心していました。しかし、 うつ病 の怖さは寛解したと思ったところから始まる のが本当の うつ病 の怖さです。

5.1 薬の効果 と 自分の気持ちの変化を知ること

薬による治療を継続していくと気分もかなり改善され、自分でも本来の自分を取り戻したかのような状況になっていきます。しかし、これは、高熱な状態を解熱剤で熱を下げているのと同じようなもので、薬の効果だけではまだ十分な寛解のレベルに達しているとは言えません。その証拠として、私は本来の寛解状態になるまえに何度も うつ状態 を繰り返しました。ただし、薬の効果により気分が良くなり、 日常生活の中でも病前と同じように普通に生活出来るようになること が寛解までの一つの大きな目標になります。
 
例えば、寛解に達したと思ったら、以下のようなことが日々継続して出来ることを自分で確かめることも重要です。
 

  • 規則正しい生活ができるか
  • 毎日決まったコースを散歩したり、一人で電車やバスに乗って買い物や旅行に行けるか
  • 他人とのコミュニケーションができるか
  • 家事の手伝いができるか
  • 計画的に物事(自分で決めたこと)を進めることができるか

 
これらのことが出来るということは、意欲や集中力が身についていることになりますし、 身体のバランス(ホメオスタシス) が良い状態にあると言えます。

 

5.2 再発を予防する手立てを自分でも考えること

私は3度も うつ病 を繰り返してきました。この先ももしかしたら うつ病 を繰り返すのではないかという不安もあります。しかし、その不安を少しでも取り除くことが発症を予防することにつながります。心療内科や精神科の医師の言いつけや生活指導を守ることはとても大事なことですが、自身の行動や考え方を知ることはもっとも大切なことです。
 

5.2.1 自身の性格を知る

細かいことではなく、 自身のキャラクターがどんなものなのかを大雑把に知る ことが大切です。
例えば、以下のような事柄を知ることです。
 

  • 勤勉
  • 努力家
  • 負けず嫌い
  • しつこい
  • 拘る
  • 神経質
  • 怠け癖がある
  • 視野が狭い 
  • 目立ちたがり屋
  • ナルシスト
  • ポジティブ思考
  • ネガティブ思考

 
このように大雑把な傾向を知ることが大切です。自分自身のキャラクターを把握しようとしていくと当然ながら「矛盾」が発生します。「矛盾」とは、ある場面や状況のときに本来自分が感じた自分とは違う性質のものが現れることがあります。
 
具体例でいうと、Aさん と会うときはものすごく目立ちたがり屋の自分なんだけど、Bさんに会うときは努力家の一面を見せるなど。このようなことは当然あると思います。どっちが本当の自分なのかを知ることです。

5.2.2 本当にそれは正しいですか

私は うつ病 を3度も繰り返してやっと気がつきました。それは、私自身の行動と心で思ったことに 絶対などない ということです。
これはすべてにおいて「絶対などない」と今もそう考えています。
やや表現が抽象的なので具体例を出します。
 
例えば、以下のようなことです。
 

  • 親のいうことはいつも正しい
  • 学校の先生は、いつも正しいことを教えてくれる
  • 勉強しないと大人になってから困る
  • 人に嘘をついてはいけません
  • 人に迷惑を掛けてはいけません
  • 人のものを盗んではいけません
  • いつも身だしなみはきちんとしなくてはいけません

 
などなど・・。こんなことは幼少の頃から親の躾と称して教えられてきました。また、これらについては最もなことなので当然、疑問も持ちませんでした。当然、幼少の頃は親が絶対的な存在ですので、親の言うことはきちんと認識します。しかし、本当にこれらのルールは正しいのでしょうか?
 
幼少期の頃の親の躾、保育園、幼稚園、学校教育ほど人生に影響するものはありません。親の言うことを聴かないと説教されたり、暴力を振るわれたりなど、それだけで子供は萎縮してしまいます。フロイトの理論2によれば、それは自分自身が考えている意見や抵抗しようとする姿勢を否定されることになり、それが無意識の中に埋没されていきます。そして、成長とともに無意識の中に埋没されてきたものは、あるきっかけをもって発動することになります。それが精神疾患です。
 
私は うつ病 を経験して 自身の行動や考え方の癖を改める ようにしています。どちらかというと、私自身のキャラクター特性はネガティブ思考で視野が狭いのが特徴ですが、これはこれで良い一面もあるということを自分自身が認めることです。そして、考え方に複数の選択肢を用意し、当たり前のことですが、その時の状況や場面に応じて「よりベター」な行動を行うことにしました。そして、より多くの人の考え方を聴くことが、自身と異なる他の人の一面を認めることにもつながっていきます。
 

5.2.3 自分の思考の癖を知る

私の思考の癖はものごとを論理的に考えてしまうことで、論理に合わない事柄を排除する傾向が強いことです。つまり、理論的に辻褄が合わない意見は否定する傾向が強いことです。その背景にあるものは、幼少期から青年期にかけての学習の仕方に問題があったことを自覚しました。それは「理論的に解釈することがすべて正しいこと」と思い込んでいたからにほかなりません。世の中には理論的に説明の付かないことも多くありますし、人が介在する場合には理論的に相手のことを理解することは到底出来ません。
このようなことから、自分自身の思考の癖を知り、その癖が何に起因しているのかを突き止めました。
 
人の思考の癖は幼少期~青年期に掛けての発達過程に問題がある ことが研究より明らかになっています。そして、多くの場合、*両親の躾* や 集団行動 における 学習過程 で生じると言われています。過去を遡って 自分自身が最も苦しかったこと嫌な出来事 と関連しています。
 
私の場合は、小学校での勉強でした。算数が嫌いになったきっかけが勉強嫌いに拍車をかけたのですが、その理由は、自分で時間を掛けて考えることよりも何故か機械的に短時間で解答しなければならないような風潮に嫌気がさしたことだったと記憶しています。それは、学校でも家庭でもそうでした。一つ一つを納得しながら解答するよりも、何故そのような公式になるのよりかも、すべてはその公式や手順に従わなければならないことに勉強そのものに嫌気(矛盾)を感じたものでした。
 
そのことがあってから、高校受験でも大学受験でも私は理論的に納得が出来ないことは納得するまで時間をかけてでも理解するように努めてきました。このことが、上述したとおり、「理論的に解釈することがすべて正しいこと」の始まりになったと言えます。そのために生じる問題が、人とのコミュニケーションです。 人とのコミュニケーションは辻褄が合わないことの方が圧倒的に多い のですが、今、思えばそのことが自分自身の ストレス 3 になっていたと考えています。

5.2.4 思考の癖を修正する

自分自身の思考の癖が解れば、うつ病 とは無縁の状態を作ることができます。
どういうことかといえば、うつ病 の発生 4 要因の一つとして、ストレス耐性による要因や人格(気質)による発症がありますが、ストレスの感じ方や気質は、自分自身の思考の癖(認知)を修正することにより、ストレスの感じ方そのものも変化させることが可能です。
 
今回は、ここまでとします。次回は、「うつ病 と パーソナリティ」をテーマとして、自己分析について詳しく掲載する予定です。

 

6 ホームページについて

このホームページは、うつ病の精神治療法を研究するための私自身のためのサイトです。私自身が覚えることが苦手、且つ、忘れっぽい性分なので備忘録として主に以下の内容のものを扱っています。どこにいてもこのホームページを閲覧することができるようにという目的でこのホームページを作りました。
 
 
ホームページの作成には、Emacs 25.1.1 を使い org-mode により HTML を生成しました。Emacs を使った理由として、Mac , Windows , FreeBSD などOSを問わずに編集出来ること、また、日頃の文書作成も Emacs を使っているため慣れ親しんだツールを使うことが何よりも使い易いためでもあります。このホームページは、大学、大学院で学んだ事柄を中心に私自身が日々の研究のために忘れないようにするための私自身の備忘録、或いは雑記帳の様なものですので、記載されている事柄について十分な確認や検証をしたものではありません。
 
 

  • 患者様のための情報提供サイトではありません。
  • 医師、看護師、その他の医療従事者のための情報提供サイトではありません。
  • 研究者、大学教職員、大学院生、学生のための情報提供サイトではありません。

 
 
したがいまして、このサイトは私のためのネットノートなので、読みにくかったり誤りもあるかもしれません。
その際はご指摘いただけると嬉しく思います。
このホームページに掲載している図表、画像、文章に関しての転載、複写は自由ですが、いかなる結果が生じても責任を負えませんことを予めご承知おきください.
 
 
なかなか、まとめが進んでおらずリンクが機能していないページがあったり、書きかけのページがあったりします. 日々、アップデートしております.

[2017-03-06 月] org-mode のバージョンが 8.3.6 から 9.0.5 へバージョンアップしました. 
 

クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
この 作品 は クリエイティブ・コモンズ 表示 - 改変禁止 4.0 国際 ライセンスの下に提供されています。
Valid XHTML 1.0 Strict


脚注:

1
高梨葉子:認知行動療法を用いたうつ病の再発予防に関する研究 (原著).
2
フロイトの基礎理論:臨床精神分析(1)

著者: Satoshi Takemoto Satoshi Takemoto

Created: 2017-03-26 日 18:43

Emacs 25.1.1 (Org mode 9.0.5)

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