感情 と 行動

目次

1 はじめに

感情とは一体なんだろうか?
 
人は何故感情によって行動が変わるのだろうか?
 
感情が及ぼす人の行動について、少しここでは書いてみたい.

2 感情と情動の定義

参考 ← ここに書いているが、もう一度、感情と情動について整理しておく.

2.1 情動とは

情動とは、個体および種族維持のための生得的な要求が脅かされる、あるいは充たされた時の「感情体験」およびそれに伴う行動などの「身体反応」と定義される(堀、1991)。
 
また、中島義明. (2014). 心理学辞典. 有斐閣. には、以下のように書かれている.
 

感情(emotion)の動的側面が強調される場合に用いられてきた用語 であり、 急激に生起し、短時間で終結する反応振幅の大きい一過性の感情状態また感情体験をさす.
従来、emotion に対応する用語として感情と情動という二つのものが用いられてきたが、これは「感情」という日本語が、感情体験の質的差異を強調する意味で用いられることが多く、また動物を用いた実験では、感情のもつ認知的成分すなわち評価的側面は研究対象とはならず、また不必要なものであったがために「感情」にかわる用語を必要としてきたためと考えられる.(以下略)

 

2.2 感情とは

中島義明. (2014). 心理学辞典. 有斐閣. には、以下のように書かれている.
 

感情がどのようなものであるかは誰もが知っているが、その定義を求められると誰もが答えられないといわれる.
 
これは感情の種類についてもいえることで、何を基本感情と見なすかということすら研究者間で意見が一致していない.
また日本語においても外国語に於いても感情にかかわる用語は多用であり、感情をどの範囲に規定するか、また用語をどのように用いるかが、いまだに一致していない.
 
(中略)
 
感情の先駆的研究として、 ダーウィン『人及び動物の表情について』(Darwin, C. R. 1872) がある.
感情は、進化の長い淘汰の産物であり、ヒトを含む動物は、系統的発生に連続した、感情に固有の身体反応、整理反応をもつと考えられた.
 
また、 ジェームズは感情の抹消説(ジェームズ = ランゲ説) を、 キャノンは感情の中枢説(キャノン = バード説) を唱え、 S. フロイトはヒステリーを感情の力動的特性から説明した.
 
ダーウィン、ジェームズの影響を受けたトムキンス(Tomkins, S.)は顔面フィードバック仮説を、またその弟子であったイザード(Izard, C. E.)は心理進化説、エクマンは神経文化説を唱えた.
感情を進化論から考える理論家として、他にプルチック(Plutchik, R.)が有名である.
 
(中略)
 
強い感情状態 は、 自律神経の交感神経系を活性化させ、生理的に覚醒された状態を生み出す. 個々の感情と身体の変化との間に明瞭な関係性の存在することは疑問視されているが、主観的には怒り、恐怖、悲しみなどの感情には、それらに固有の身体変化を感じるようである.
 
感情は、個々の感情に特有の反応を生み出す. 顔面表情がその最も代表的なものであり、他に、声、姿勢、動作などがある.ダーウィン以来、顔面表情は遺伝的にプログラムされた、生物としてヒトに共通するものと考えられてきた.
エクマンらは、怒り、嫌悪、幸せ、悲しみといった個々の感情に対する顔面表情は、異なった文化の人間の間においても相互認識が可能であるとみなしている.
 
感情は、その感情に特定される一連の行動を生み出すことが多い.
例えば、怒りは攻撃行動を、恐怖は逃避行動を喚起する.このような感情の動機づけ機能は、感情を喚起する刺激の条件付け研究を可能ならしめ、これまでに恐怖、不安といった感情に関する実験的研究を発展させてきた.(以下略).
 

 

3 意識下における情動?

結局、情動の発生機序はどのようになっているのだろう?
 
あるいは、情動や感情と呼ばれるものと精神活動とのつながりって結局のところ、何だろうか?
 
ジョセフ・ルドゥ は、次のように述べている.
 

私は情動を神経系の生物学的機能と見る. 脳内においてどのように情動が表現されているのかを明らかにすることが、情動を理解することになると信じている.
 
このアプローチは、 情動の脳内メカニズムを考慮せずに、単に心理的状態として捉えてきた従来の代表的な研究とは対極にある.
 
心理学的研究はこれまでも大いに有益であったが、脳の機能として情動を研究するアプローチのほうがより一層協力である.
 
科学は実験なくして成り立たない.実験とは、ある変量を操作したり、他を制御したりすることを意味する.脳には操作しうる変量がきわめて多い.
 
情動の脳研究は、心理実験のみでなしうるよりもはるかに多くの新しい発見が得られることがわかった.さらに、情動の脳内メカニズムの研究は、オルタナティブな心理学的仮説を検討するのにも役立つ.
 
情動の働きを解明するには多くの可能性があるが、われわれが 本当に知りたいのは進化によって脳が何を獲得したか なのである.

 
また、ジョセフ・ルドゥ は、1 の心理学的影響について次のように述べている.
 


 
また、アントニオ・R. ダマシオ 2 は、次のように述べている.
 

情動を手短にまとめれば次のようになる.
 
動物や人間のような「有機体」が何かを見る、触る、聞く、想像する、などをすると、その結果、「身体的変化」が生じる.  
 
(中略)
 
一方、こうした情動的身体状態は神経信号や化学信号によって有機体の脳に即座に、しかも連続的に報告され、 脳の中で神経的に表象される. この、神経的に表象されたものが、著者ダマシオ博士の言う 「感情」 である.しかし、このような表象が有機体の脳の中に形成されること-すなわち、有機体が感情をもつこと-と、有機体が「感情を感じること」とはちがうというのが、 情動と感情に関する著者の議論の重要なポイント である. 脳の中に、情動的身体状態の表象(つまり感情)が形成されても、それが有機体に実際に認識されるかどうかは(つまり、その感情が感じられるかどうかは)まったく別問題と著者は考えている.

 

4 感情と行動の関係

上述したように何かを見たり・聴いたり・触ったり・話しをしたり・想像したりなどを行うと身体的変化が生じる事は解っている. 
人の行動は、 思考→言葉→行動 の順で行動すること. 
いきなり行動することはなく、行動の善し悪しに関わらず、思考が最初に現れる. では、その思考は何の影響を受けるか? 
感情によって思考が生まれ、思考によって新たな感情が芽生える. 
心理学的に言えば内的刺激や外的刺激及び欲求に対する反応が感情が及ぼす行動と言えるかもしれない.

5 参考文献

熊野 宏昭, 伊藤 絵美, & 杉山 雅彦 (編). (2016). 臨床心理学第16巻第4巻 - 認知行動療法を使いこなす. 金剛出版.

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脚注:

1
分離脳手術:分離脳手術とは、重篤なてんかん症を治療するために、脳の半球間の神経連結を分離することでてんかんの発生を抑えるよう医療法である.
2
アントニオ・R. ダマシオ:Antonion R.Damasio ポルトガル生まれのアメリカの神経学、神経科医.

著者: Satoshi Takemoto Satoshi Takemoto

Created: 2018-08-05 Sun 18:44

Emacs 26.1 (Org mode 9.1.6)

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