トランスパーソナル と アントロポゾフィー (5)

目次

1 はじめに

ここでは、上記の記事を踏まえ、「覚醒 (悟り) と バイオフォトン(1)」 についてメモしておきたいと思う.

1.1 本稿での考え方

主に心理的側面よりアプローチする方法を採用するが、他の主義・主張を否定するものではない.
特に、アイデンティティ・アプローチによる考え方、生物学的自然主義による考え方とルドルフ・シュタイナーのアントロポゾフィーを基本に研究を進めているが、ここではアントロポゾフィーと心理的側面に着目し、 「感情」や「経験」が心身にどのような影響を及ぼすのか関連する事柄を含めて連載記事としてまとめる.

具体的には「経験」・「感覚」・「情動」・「意識」というものが、「心身」にどのような影響を与えているのかを連載記事として簡単に述べていきたい.
以下、「経験」と言う語を使っている場合には身体的経験と感情的経験の両者を含むものを指す.
 

アイデンティティ理論は、感情体験などの精神状態を神経系の状態にまで引き下げます。
感情経験のタイプ - タイプアイデンティティ理論(例えば、基本的な感情理論)は、あらゆる種類の感情経験(例えば、怒りの経験)に対して、ただ1つのタイプの神経生理学的状態があるという仮定に基づいている。
感情経験のトークン - トークンアイデンティティ理論(例えば、 James 1890、1894)は、独特の感情によって特徴付けられる感情のあらゆる実例は、独特の身体的状態と同一であると主張する
(例えば、異なる怒りの経験は異なる神経生理学的状態によって具体化される) 。
特定の脳領域における活動の増加として感情を指すといういくつかの神経科学論文における現在の傾向は、感情についてのアイデンティティの仮定に依存している。

リサフェルドマンバレット

ルドルフ・シュタイナーは、私たちの生活すべてにアントロポゾフィーという考え方を取り入れており、アントロポゾフィー医学にならって私は「アントロポゾフィー心理学」と勝手に名付けた。
「アントロポゾフィー心理学」の考え方は、既存の人間性心理学・精神分析・行動主義を補完し、神学・仏教・東洋医学・霊学をはじめ必要な領域を補完・統合すること目指した私が独自に考えたものである。 

2 概要

覚醒(悟り)については古くからあり、その議論の範疇は主に宗教に関係するものであった.
成毛 (2015) は、「覚醒」について以下のように述べている.

覚醒体験(悟り)を意味する言葉には,以下のようなものがある。
英語では, Enlightenment, Awakening, Realization, Nirvana などと言う。Shift in Consciousness なども同様の意味で使用されている。
キリスト教における Revelation もほぼ同様の経験を意味しているようである。

日本語には,まず解脱がある。 これは文字通り,形あるものから抜け出ることを意味する。さらに涅槃は,「炎が消えた」 を意味する。
炎は現象のことで,エゴが作り出す拘束や限界の虚像を見破ることで,そ の炎を消すことを意味している。
その他の類似表現には,悟り,啓示,黙示,啓発,感 得,極楽の境地,完全な状態,目覚め,気づき,一瞥体験,などがある。

覚醒体験 は, エゴの世界から 真実・実相の世界への移行 であり, エゴによる歪みを超越しあるがまま の現実を見ること を意味する。

この気づきは, 人間の潜在能力を完全に開花させる段階 ともいえ,文化,国,宗教などを超えた普遍性を持つ体験 でもある。

つまり、本来誰もがもっている潜在能力を開花させることが「覚醒」である.
ルドルフ・シュタイナーのアントロポゾフィー医学 の考え方に拠れば、それは自我にある 悟性魂意識魂 と呼ばれるものである.
これについての詳しい説明は既に トランスパーソナル と アントロポゾフィー (2) で述べているので、そちらを参照.

ここでは、誰もがもっている「覚醒」というものが、もしかしたら「バイオフォトン」との繋がりがあるのではないかと思い、関連する文献を調べてみた.
そのメモを書いておきたい.

3 覚醒体験の現状

さらに、成毛 (2015) は、以下のように述べている.

個体内コミュニケーションの活動 は,あらゆる コミュ ニケーションの基盤 であり, 非常に重要 である。
そして, *個体内コミュニケーションの 最も深いレベルと考えられるのが,「覚醒体験」(悟り)* であり,それは スピリチュアル な体験 である。
このような意味で,スピリチュアル・コミュニケーションの研究がその 重要性を持っている。

「覚醒体験」(悟り)は, 人間の経験しうる最も深淵な自己理解の コミュニケーション活動 であり,「第二の誕生」とも呼ばれる。
何故なら,これは肉体の誕生に対してスピリチュアルな誕生を意味するからである。
大方の人間は,この「第 二の誕生」を迎えることなく一生を終える。しかしながら, 昨今はこの「覚醒体験」を する人の数は増加 している

ここで重要なことは、 「個体内コミュニケーション活動」 というものがどういうものなのか? と、言うことである.

瞑想は,個体内コミュニケーションなのだが,この 瞑想を通じて達成できる のが 「覚醒体験」 であり 「悟り」 である

つまり、瞑想から覚醒へ導く過程のことを「個体内コミュニケーション」と呼んでおり、「覚醒」とは自我の境地から真我の境地に達することであり、「悟り」、「啓示」などとも呼ばれている.
これに関連して、人間の身体の中で「覚醒」時にどのようなことが起きているのか?

以下にメモする.

3.1 覚醒 (arousal wakefulness) とは何か?

3.1.1 定義

覚醒とは、目覚めている状態であり、睡眠でない状態である.
一般的には、周囲に注意をくばり、見当識が保たれており、ものごとを正しく認識しうる状態のことである.
そして、通常は、その結果として、適切な反応・行動をとることが可能である.

現在の脳の臨床所見によれば、正常な意識が成立するためには大脳皮質全体が健全であることが必要であり、それが広汎に侵されると、昏睡となり、意識は保たれない.
睡眠による意識の喪失は生理的・可逆的であるが、昏睡は病的に持続する意識水準の低下であり、可逆的ではない.
また、より程度の軽いものとして、嗜眠がある.昏睡が大脳皮質全般にわたる侵襲だけではなく、視床下部後部や中脳網様体などの傷害によっても生じることから、
覚醒あるいは大脳の活動水準の維持には、覚醒系と呼ばれる間脳と脳幹の種々の部位による調整が必須とされている.

中島 義明. (2014). 心理学辞典.

ケンウィルバー は「覚醒」を次のように定義している.

「悟り」とはすべてと一体になること.

3.1.2 覚醒体験

人が覚醒した時にどのようなことが起きるのか?
ここでは具体的な覚醒体験のごく一部の例を示す.

3.1.2.1 光体験
  • 三国ますみ
    「真の自己」とは,白光に包まれた「覚醒意識」

まばゆい光の中へ入っていったことが ありました。光といっても普通の光ではありません。通常の光の何百万倍もの明 るさの,ちょっと形容しようのない光です。

ないような美しい光に包みこまれました。そこは,白っぽ い金色の輝きに満ちた一面の光の世界でした。

どんな「場所」も,気づきの中の現れにすぎないことがわかりました。胸のあたりからきらきらと輝く光の玉が放射されて外側に広がっていき,独立した個性の中心としての人間という概念はその中に溶けてきえてしまいました。

いつの間にか夜が明けて,太陽の光がそそいできました。そのとき自分の目の前にたまたま小さな菊の花があったのですが,その花にさっと日の光が当った瞬 間,そのきらめきというか,輝きというか,すばらしい光が僕にパッ と迫り,体 に入りました

3.1.2.2 意識体験

覚醒体験とは「主体と客体である自分が一つになり,意識がそれ自身を意識して いる体験」です。
自分の目で,自分の目を見るようなものです。私のした体験は, 自分という意識が自分の体を越えて空間に広がっていきました。
空間は私の意識 と同じ意識で息づき,躍動していました。

  • 原田健児

しばらく坐禅していると,いつもとは何か次元が違うかのように,スーッと深い 意識状態になり,これまでに体験したことの無い境地になった。どんどん良い状 態になる。どんどん自分という意識が無くなる。肉体感覚が無くなる。五感を超 えるというのは,このことなのだろうと思った。私も,中井師も,天井も,畳も, すべてが一つになる。すべてが,一つの宇宙の根本波動の中に消えてしまい,一 つの大波だけを感じる。私は,ここから来て,またこの大波へ帰るのだと思った。 自分が,その根本波動の中に飲み込まれ,我が無くなるということが,こんなに も快いものなのか…。しかし,私の個性は残り,不安は感じない。最高の喜びを 感じ,至福だ。最高の寂静で,最高の落ち着き,最高の冴えだ。このまま永遠に 死んでいたいと強く思う。最高に生きているのに,最高の死でもある。私は,こ の至福の状態をしばらくの間楽しんだ。この人生で,最高最良の体験だ。

  • 大矢浩史

感覚(五感)が考えやマインドのコントロールから自由になったとき,私たちは 無条件の喜び,無条件の愛を発見できます。そして,その喜びのなかですべての 人とつながっている感覚を体験します。

3.2 覚醒体験に共通すること

3.2.1 光体験

光体験では白っぽい光り輝くなんともいえない光に包み込まれるような体験をしている.

3.2.2 意識体験

自我が仮我から真我に移行した際の躍動感と共に「無償の愛」の気付きと共に喜びを体感する.
これがまさにトランスパーソナル(自己超越)な状態である.

すなわち、個としての「私」から超越し、霊の次元に入る.
これはルドルフ・シュタイナーの言う 悟性魂 であり、自我が対象を意識するだけでなく、さらにその意識に働きかけを行うとき、自我の本性は一段高次の階段を上がり、自我は知覚の対象からますます離れて、自分の所有しているものの中で働くようになる.それができるのが、 悟性魂 、あるいは、 心情魂 と呼ばれるものである.

3.3

4 関連記事

5 参考文献

  • 梶原直美, 「スピリチュアル」の意味-聖書テキストの考察による一試論-. 川崎医療福祉学会誌, Vol. 24 No. 1 2014 11-20.
  • 中村雅彦・長瀬雅子,スピリチュアルな癒しに関するトランスパーソナル・パラダイムの 展望-癒し、医療、スピリチュアリティの相互関係 愛媛大学教育学部紀要, 第51巻 第1号 83~93 2004.
    Perspectives of transpersonal paradigm on the spiritual healing: Mutual relationships among healing, medicine, and spirituality. (英語)
  • 石川勇一, 心理療法の根本原則と霊性 ― スピリット・センタード・セラピーと伝承療法
  • 松本道別, (2017). 霊学講座 八幡書店
  • ルドルフ・シュタイナー. (2016). 人智学・心智学・霊智学 筑摩書房.
  • ルドルフ・シュタイナー. (2017). 神秘学概論 筑摩書房.
  • ルドルフ・シュタイナー, (2014). 病気と治療 イザラ書房
  • ルドルフ・シュタイナー, (2017). シュタイナーのアントロポゾフィー医学入門 (社)日本アントロポゾフィー医学の医師会.
  • ルドルフ・シュタイナー, (2016). 秘されたる人体生理. イザラ書房

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このホームページは、うつ病の精神治療法を研究するための私自身のためのサイトです。私自身が覚えることが苦手、且つ、忘れっぽい性分なので備忘録として主に以下の内容のものを扱っています。どこにいてもこのホームページを閲覧することができるようにという目的でこのホームページを作りました。
 
 
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著者: Satoshi Takemoto Satoshi Takemoto

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