【人智学(1)】 感覚

目次

1 はじめに

第1回 :死後の世界を語る上で大事な人間がこの現実界に生まれてきた理由と真理について述べた。 
第2回 :人は死ぬとどうなるのか? 魂とは何かについて述べた。 
第3回 :カルマ(業)とは何か?
 
今後このホームページで公開を予定している記事を理解するために幾つかの基本的な事柄について、 
今回からシリーズでルドルフ・シュタイナーの人智学・心智学・霊智学を連載していきたいと思う。 
 

2 感覚

これから人智学で扱う「感覚」というものを理解するために生理学や心理学で定義されている「感覚」を先に述べる。 
 

2.1 一般的に知られている感覚 

私たち人間の身体の感覚は大変よく出来ており以下のように体性感覚・内臓感覚・特殊感覚と呼ばれる感覚をもっている。 
 

大分類 中分類 小分類
体性感覚 皮膚感覚 触覚
体性感覚 皮膚感覚 圧覚
体性感覚 皮膚感覚 温覚
体性感覚 皮膚感覚 冷覚
体性感覚 皮膚感覚 皮膚痛覚
     
体性感覚 深部感覚 振動感覚
体性感覚 深部感覚 運動感覚
体性感覚 深部感覚 深部痛覚
体性感覚 深部感覚 固有覚
     
内臓感覚 内臓痛覚  
内臓感覚 臓器感覚  
     
特殊感覚 味覚  
特殊感覚 嗅覚  
特殊感覚 前庭覚  
特殊感覚 聴覚  
特殊感覚 視覚  

 
この「感覚」という言葉の意味について [真島英信,(2004), 生理学. 文光堂. ] は、次のように定義している. 
 

感覚 sensation とは最も単純な要素的刺激を主観的に認める働きをいい、同じ種類 modality の感覚についてもその強さ intensity や質 quality の区別(たとえば赤と青の区別) 
、時間的経過などを認める働きを 知覚 perception という。さらにいくつかの知覚を総合して、知覚されたものが何であるかを認める働きを 認知 apperception という。

 
また、[中島 義明, (2014), 心理学辞典. 有斐閣.] では以下のように定義されている。 
 

人間を含めたあらゆる動物は三次元空間(外界)に存在している。そして、この外界において生存を続けてゆくためには、そこに存在するさまざな情報を受容する必要がある。 
外界の情報なしでは、弱い動物は即座に天敵の餌食となるであろうし、人間なども活動することすらできなくなってしまうだろう。 
したがって、あらゆる動物にとって、外界の情報を受け取ることは生存にかかわる重要性をもつといえる。 
同時に、自己の生体内部の情報を受容することも活動を続ける上で、同様に生存にかかわる重要性をもっている。 
このように重要な 外界および生体内部の情報を受容する役割 を担っているのが、 感覚 である。 
 
一般的に、感覚は受容する情報の種類によって、 視覚、聴覚、嗅覚、味覚、皮膚感覚 、のいわゆる 五感 と、 運動感覚、平衡感覚、内臓感覚 の8種類に分類することができる。 
各感覚には刺激を受容する独自の受容器が存在し、その受容器には最も効果的な刺激の種類が定まっている。それが 適刺激 である。 
 
感覚受容器が単純な刺激を受容したことによって生じる単純な過程を感覚 と定義し、より 高次で複雑な過程を知覚 として区別する観点もあるが、厳密にいえば感覚と知覚を明確に区分することは不可能である。 
慣用的に用いられる感覚と知覚の区別は厳密な定義に基づいたものではなく、比較的末梢的であると考えられる場合を知覚と呼んでいるにすぎない。 
そこで、このような感覚と知覚の無理な区別を避け、感覚受容器の活動からそれによって生じる脳内の事象までの過程を一括して知覚という用語で示す場合もある。 

 

2.2 人智学的感覚論

2.2.1 人智学とは

宇宙に眼を向けるのではなく、 人間そのものに眼を向け、肉体、エーテル体、アストラル体、感覚魂、悟性魂、意識魂という現在の人間の組織の一つ一つを理解しようとするときのその理解 
の仕方を、人智学とよぶことができます。
 
 
人智学により認識は、一番下から出発して、徐々に至高の存在のところまで登っていかなければなりません。 
人間にとって、もっとも下にあるのは、感覚的=物質的な世界です。この世界は感覚の働き並びに感覚的=物質的な理解力の働きにとっての対象世界です。 
宇宙全体から出発して、外なる感覚的=物質的な諸現象と宇宙との関連を考察するのが神智学的な考察方法ですが、 *人智学的な考察は、この感覚的=物質的世界を生きる人間に眼を向けます。 * 
 
人間の感覚的=物質的な側面 を、 感覚的存在である限りでの人間を、先ず考察する のですが、そこから始めて次にエーテル体、更にアストラル体並びにそれと結びついた自我を考察していくのです。 
 
ルドルフ・シュタイナー. (2016). 人智学・心智学・霊智学 筑摩書房.

 

2.2.2 人智学的感覚論

人間の感覚が、触覚、嗅覚、味覚、聴覚、視覚の「五感」から成る、と語るのでは陳腐としか言いようがありません。 
五つの感覚が感覚のすべてだと言うのでは、すべてふぁ一緒くたにされてしまいます。現在の学問は、五つの感覚に加えて、更に三つの感覚を数え上げるようになってきました。 
しかし、もちろんそれだけでは、まだ十分ではありません。(中略)
 
先ず感覚を一つ一つ、上に述べた導きの糸に従って、本当に意味があるような仕方で数え上げてみようと思います。 
 
ルドルフ・シュタイナー. (2016). 人智学・心智学・霊智学 筑摩書房.

 
以下に人智学的感覚論で扱う「感覚」を述べる。 
 

2.2.3 (1)生命感覚 

実際の感覚。生体のすべてが規則正しく秩序が乱れていないときには感じることができない感覚であり、生体の何かが規則正しく機能していない、あるいは秩序が乱れているときに感じられる感覚である。 
例えば、空腹感や喉の渇きを内的に知覚する。 ところがこれが何らかの理由により機能しなくなった場合には知覚することができなくなる。このときに身体の自己知覚は、生命感覚によって可能になる。 
 
この生命感覚をとおして自分自身を内的に統一した身体であると意識することによって、諸感覚相互の働きが理解できる。 
さらには、この感覚が「心身超越」につながっていく。 
 

2.2.4 (2)自己運動感覚

自己運動感覚とは、手足を動かすときに感じ取れる感覚のことを言う。 
自分自身の運動を知覚できなければ生活することさえできない。機械は自分の動きを知覚することはできないが、感覚をもった生き物だけが知覚することができる。 
 

2.2.5 (3)均衡感覚・平衡感覚

上下・左右などの方向の区別。この感覚には重要な役割をしているのが三半規管である。 
この器官が傷つくと方向感覚を失うとされている。 
 

2.2.6 (4)嗅覚

外界と人間の相互作用によって嗅覚は成り立っている。 
外界の物体(素材)が臭いを出さなければ臭うことはない。この感覚が嗅覚である。
 

2.2.7 (5)味覚

嗅覚からさらに一歩踏み込んだときに外界の物体(素材)との間にはさらに深い関係が生じる。 
物体(素材)を口に入れ、舌で物体(素材)を知覚する。この時に物体(素材)は、どんな素材であるか、どんな影響が生じるかを告げる。 
 

2.2.8 (6)視覚

事物の本質を深く示す。嗅覚があるがまま受け取るのに対して味覚は更に複雑となり物体(素材)の内面が何かを語る。 
視覚は更に複雑となり、物体(素材)が一定の光の反射をすると、それが色となって現れる。 
視覚は物体(素材)の形状・色を知ることができる。 
 

2.2.9 (7)熱感覚

物体(素材)の状態を視覚以上に明らかにする。 
物体(素材)のもつ内面の熱さ・冷たさを知ることができる。 
 

2.2.10 (8)聴覚

物体(素材)が響きを発する(振動)ことによってその事物がどのように振動しているかを聴覚により知覚することができる。 
聴覚は熱感覚よりもさらに外界を知覚することができる。 
 

2.2.11 (9)言語感覚

人と意思の疎通を図るときに見いだせる感覚。 
言語で表現されたものを知覚する場合に、判断の働きだけでなく、感覚も働いている。 
 

2.2.12 (10)概念感覚

通常の人間生活において最高の感覚とされる。 
この感覚によって音声の表す概念が理解できるようになる。 
判断できるようにするためには概念を働かせなければならないが、そのためには予め魂が概念を知覚できなければならない。 
 
(11)から(13)の感覚はアストラル成分を引き出し自分自身でできるようになることで段階的に可能になる感覚である。 
 

2.2.13 (11)霊視感覚

眉間に二葉の蓮華と呼ばれる器官が、最初の霊的な感覚器官として作られる。 
この感覚が霊視感覚。
 

2.2.14 (12)霊聴感覚

咽頭部には非常に複雑な感覚、十六弁の蓮華である霊聴感覚が形成される。 
 

2.2.15 (13)霊的合一感覚

心臓部には霊的合一感覚と呼べるような感覚が十二弁の蓮華となって形成される。 
  
これ以上のものは通常の感覚とは異なり、もはや感覚とは異なるため、更に高次の感覚もあるがここでは割愛する。
 

3 参考文献

ルドルフ・シュタイナー. (2016). 人智学・心智学・霊智学 筑摩書房.

4 ホームページについて

このホームページは、うつ病の精神治療法を研究するための私自身のためのサイトです。私自身が覚えることが苦手、且つ、忘れっぽい性分なので備忘録として主に以下の内容のものを扱っています。どこにいてもこのホームページを閲覧することができるようにという目的でこのホームページを作りました。
 
 
ホームページの作成には、Emacs 25.1.1 を使い org-mode により HTML を生成しました。Emacs を使った理由として、Mac , Windows , FreeBSD などOSを問わずに編集出来ること、また、日頃の文書作成も Emacs を使っているため慣れ親しんだツールを使うことが何よりも使い易いためでもあります。このホームページは、大学、大学院で学んだ事柄を中心に私自身が日々の研究のために忘れないようにするための私自身の備忘録、或いは雑記帳の様なものですので、記載されている事柄について十分な確認や検証をしたものではありません。
 
 

  • 患者様のための情報提供サイトではありません。
  • 医師、看護師、その他の医療従事者のための情報提供サイトではありません。
  • 研究者、大学教職員、大学院生、学生のための情報提供サイトではありません。

 
 
したがいまして、このサイトは私のためのネットノートなので、読みにくかったり誤りもあるかもしれません。
その際はご指摘いただけると嬉しく思います。
このホームページに掲載している図表、画像、文章に関しての転載、複写は自由ですが、いかなる結果が生じても責任を負えませんことを予めご承知おきください.
 
 
なかなか、まとめが進んでおらずリンクが機能していないページがあったり、書きかけのページがあったりします. 日々、アップデートしております.

[2017-03-06 Mon] org-mode のバージョンが 8.3.6 から 9.0.5 へバージョンアップしました. 
 

クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
この 作品 は クリエイティブ・コモンズ 表示 - 改変禁止 4.0 国際 ライセンスの下に提供されています。
Valid XHTML 1.0 Strict


著者: Satoshi Takemoto Satoshi Takemoto

Created: 2018-08-24 Fri 16:29

Emacs 26.1 (Org mode 9.1.6)

Validate