精神医学

目次

1 メニュー

項目 概要
SCID DSM に準拠した構造化面接について概説
HDRS ハミルトンうつ病評価尺度について概説
BPRS 簡易精神医学的評価尺度について概説
PNSS 陽性・陰性症状評価尺度について概説
統合失調症 統合失調症の概要
気分障害 気分障害の概要
不安障害 不安障害の概要
強迫性障害 強迫性障害の概要
ストレス関連障害 ストレス関連障害の概要
解離性障害 解離性障害の概要
身体疾患による精神障害  
発達障害  
小児期の心身症と精神疾患  
思春期・青年期の精神障害  
壮年期の精神障害  
老年期の精神障害  
精神科治療  
DSM-5 の分類  
主な向精神薬  

2 はじめに

この章では精神医学とはどういうものなのかを概説する。

  • 精神医学は医学の一分野であり、精神と行動の異常を対象とするものである。
  • 精神医学ではヒトの主観的体験を扱う。
  • 内科や外科など目に見える病変を扱う分野とはアプローチが異なる。
  • 診断にあたっては面接を通して患者を心理的に理解することが不可欠である。
  • 治療においても薬物だけでなく言葉を介した精神療法的働きかけが重要である。
  • 身体の診察・検査や薬物療法など医学的な方法論を用いる点で心理学とも異なる。

3 生物学的方法と心理学的方法

精神医学では自然科学的方法と人文、社会科学的方法との両者が用いられる。

3.1 精神障害の分類

  1. 身体症状

    例えば、進行麻痺における瞳孔障害、髄液所見などで、これは身体医学の場合と同様に生物学的方法により観察できる。

  2. 精神症状
    • 客観的症状

    観察者が直接に知覚できるもの。広義の行動として現れた症状をいう。例えば、表情、行動、言語、作業、筆跡、作品などであり、客観的に記録・記述できる。

    • 主観的症状

    患者が直接体験したもの。観察者が患者の言葉による陳述を介して間接的にしか描きだすことができない症状のこと。主な精神症状として、対象意識以上、自我意識異常、感情異常、思考異常などが含まれる。

4 ICD-10による分類

4.1 大分類

(F00-F09) 症状性を含む器質性精神障害
(F10-F19) 精神作用物質使用による精神及び行動の障害
(F20-F29) 統合失調症,統合失調症型障害及び妄想性障害
(F30-F39) 気分[感情]障害
(F40-F48) 神経症性障害,ストレス関連障害及び身体表現性障害
(F50-F59) 生理的障害及び身体的要因に関連した行動症候群
(F60-F69) 成人の人格及び行動の障害
(F70-F79) 知的障害〈精神遅滞〉
(F80-F89) 心理的発達の障害
(F90-F98) 小児<児童>期及び青年期に通常発症する行動及び情緒の障害
(F99) 詳細不明の精神障害

4.2 中分類

症状性を含む器質性精神障害(F00-F09)
F00*  アルツハイマー<Alzheimer>病の認知症(G30.-†)
F01  血管性認知症
F02*  他に分類されるその他の疾患の認知症
F03  詳細不明の認知症
F04  器質性健忘症候群,アルコールその他の精神作用物質によらないもの
F05  せん妄,アルコールその他の精神作用物質によらないもの
F06  脳の損傷及び機能不全並びに身体疾患によるその他の精神障害
F07  脳の疾患,損傷及び機能不全による人格及び行動の障害
F09  詳細不明の器質性又は症状性精神障害
精神作用物質使用による精神及び行動の障害(F10-F19)
統合失調症,統合失調症型障害及び妄想性障害(F20-F29)
F20  統合失調症
F21  統合失調症型障害
F22  持続性妄想性障害
F23  急性一過性精神病性障害
F24  感応性妄想性障害
F25  統合失調感情障害
F28  その他の非器質性精神病性障害
F29  詳細不明の非器質性精神病
気分[感情]障害(F30-F39)
F30  躁病エピソード
F31  双極性感情障害<躁うつ病>
F32  うつ病エピソード
F33  反復性うつ病性障害
F34  持続性気分[感情]障害
F38  その他の気分[感情]障害
F39  詳細不明の気分[感情]障害
神経症性障害,ストレス関連障害及び身体表現性障害(F40-F48)
F40  恐怖症性不安障害
F41  その他の不安障害
F42  強迫性障害<強迫神経症>
F43  重度ストレスへの反応及び適応障害
F44  解離性[転換性]障害
F45  身体表現性障害
F48  その他の神経症性障害
生理的障害及び身体的要因に関連した行動症候群(F50-F59)
F50  摂食障害
F51  非器質性睡眠障害
F52  性機能不全,器質性障害又は疾病によらないもの
F53  産じょく<褥>に関連した精神及び行動の障害,他に分類されないもの
F54  他に分類される障害又は疾病に関連する心理的又は行動的要因
F55  依存を生じない物質の乱用
F59  生理的障害及び身体的要因に関連した詳細不明の行動症候群
成人の人格及び行動の障害(F60-F69)
F60  特定の人格障害
F61  混合性及びその他の人格障害
F62  持続的人格変化,脳損傷及び脳疾患によらないもの
F63  習慣及び衝動の障害
F64  性同一性障害
F65  性嗜好の障害
F66  性発達及び方向づけに関連する心理及び行動の障害
F68  その他の成人の人格及び行動の障害
F69  詳細不明の成人の人格及び行動の障害
知的障害〈精神遅滞〉(F70-F79)
F70  軽度知的障害〈精神遅滞〉
F71  中等度知的障害〈精神遅滞〉
F72  重度知的障害〈精神遅滞〉
F73  最重度知的障害〈精神遅滞〉
F78  その他の知的障害〈精神遅滞〉
F79  詳細不明の知的障害〈精神遅滞〉
心理的発達の障害(F80-F89)
F80  会話及び言語の特異的発達障害
F81  学習能力の特異的発達障害
F82  運動機能の特異的発達障害
F83  混合性特異的発達障害
F84  広汎性発達障害
F88  その他の心理的発達障害
F89  詳細不明の心理的発達障害
小児<児童>期及び青年期に通常発症する行動及び情緒の障害(F90-F98)
F90  多動性障害
F91  行為障害
F92  行為及び情緒の混合性障害
F93  小児<児童>期に特異的に発症する情緒障害
F94  小児<児童>期及び青年期に特異的に発症する社会的機能の障害
F95  チック障害
F98  小児<児童>期及び青年期に通常発症するその他の行動及び情緒の障害
詳細不明の精神障害(F99)
F99  精神障害,詳細不明

5 精神医学の診断と評価

5.1 診断

  1. 疾患の定義

    一定の病因をもち、特徴的な病態を示し、ある経過をたどって、一定の転帰に至るもの

  2. 精神疾患の場合
    1. 精神疾患の場合、精神症状を特定の病因から説明できることは必ずしも多くない。
    2. 近代精神医学において最大のテーマであった統合失調症や躁うつ病は、今日でも原因が十分にわかっていない。
    3. DSM や ICDは過去の経緯から症状を重視する方針をとった。
      1. 多くの精神疾患は原因が不明であること。
      2. 理論や立場の違いによる混乱が起きることを避けるため。
      3. 症状に注目して言葉と情報の整理を図ること。
  3. 今日の診断基準
    1. DSM (Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders)

      1980年に発行された第3版 (DSM-Ⅲ)は操作的な診断基準を採用するとともに、症候論を重視し病因論をできるだけ排除すること、多軸評定法を採用することなどの方針を明らかにした。これらの方針は、DSM-Ⅲ-R (1987年) 、DSM-Ⅳ (1994年) に継承された。

      2013年に刊行されたDSM-5 は、大筋においてこれまでの方針を踏襲しているが、多軸評定法については記載していない。また、統合失調症をスペクトラムとして位置づけ、従来の気分障害を双極性障害と抑うつ障害に分けるなど、いくつかの重要な変更を行っている。

    2. ICD (International Classification of Diseases, 10th Revision, 1992)
      • WHO が編纂した国際的な疾病分類
      • DSM との整合性に配慮がなされ広く用いられている

      医療行政上や疾病統計には ICD が、精神医学研究には DSM が使われていることが多い。

  4. 面接の重要性
    • 患者と対面して行う診察 (問診・視診・聴診・触診) はあらゆる検査に先立って重要である。
    • 精神医学の対象となる精神現象は検査でとらえられるものではなく、言葉や行動を介して患者の内的体験を理解する他に方法がない。
    • 問診の重要性は大きい。
    • 面接は患者との信頼関係の確立など治療的な意味でも重要な役割を果たす。
    • 治療の進め方について同意を得るためにも面接は必要。
  5. 面接の方法や内容

    以下の各詳細についてはリンクを参照。

    • DSM に準拠した構造化面接 SCID (Structured Clinical Interview for DSM Disorders)
    • ハミルトンうつ病評価尺度 (Hamilton Depression Rating Scale)
    • 簡易精神医学的評価尺度 (Brief Psychiatric Rating Scale)
    • 陽性・陰性症状評価尺度 (Positive and Negative Syndrome Scale)

5.2 検査

脳腫瘍によって一見、"ヒステリー" のような症状が表れたり、内分泌疾患によってうつ病のような症状が生じたりするなど、精神障害はいろいろな身体疾患の症状としても出現する。したがって、身体医学的な検査はこれらの疾患を鑑別するうえでも重要である。

  1. 一般的な医学的検査
    一般的な身体検査 血圧・呼吸・体温などの測定やおおまかな身体的診察
    神経学的検査 系統だった神経系の検査。病的な反射や知覚異常のチェックなど
    一般的な臨床検査 血液・尿・心電図・胸部X線 などの検査
  2. 特殊な検査
    脳の画像診断 脳の器質的な病変が疑われるときにCT・MRI・SPECTによる検査を実施
    脳波 主にてんかんや意識障害が疑われるときに検査を実施
    髄液検査 脳炎などが疑われるときに検査を実施
    神経心理学的検査 脳の特定部位の障害と症状との関連が疑われるときに検査を実施
  3. 心理検査
    知能検査 WAIS-R、WISC、田中ビネー式知能検査、ベンダーゲシュタルトテスト、記銘力検査
    認知症検査 長谷川式認知症診査スケール、Mini-Mental State Examination
    パーソナリティ検査 質問紙法:ミネソタ多面パーソナリティテスト、谷田部ギルフォード性格検査、コーネルメディカルインデックス健康調査票
      投影法:ロールシャッハテスト、文章完成テスト、絵画統覚テスト
       

6 引用文献

石丸 昌彦, & 広瀬 宏之. (2016). 精神医学特論 (放送大学大学院教材) (新訂). 放送大学教育振興会.

大熊 輝雄. (2013). 現代臨床精神医学 (改訂第12). 金原出版.

American Psychiatric Association. (2014). DSM-5 精神疾患の分類と診断の手引. 医学書院.

厚生労働省 疾病、傷害及び死因の統計分類
 
 

7 ホームページについて

このホームページは、うつ病の精神治療法を研究するための私自身のためのサイトです。私自身が覚えることが苦手、且つ、忘れっぽい性分なので備忘録として主に以下の内容のものを扱っています。どこにいてもこのホームページを閲覧することができるようにという目的でこのホームページを作りました。
 
 
ホームページの作成には、Emacs 25.1.1 を使い org-mode により HTML を生成しました。Emacs を使った理由として、Mac , Windows , FreeBSD などOSを問わずに編集出来ること、また、日頃の文書作成も Emacs を使っているため慣れ親しんだツールを使うことが何よりも使い易いためでもあります。このホームページは、大学、大学院で学んだ事柄を中心に私自身が日々の研究のために忘れないようにするための私自身の備忘録、或いは雑記帳の様なものですので、記載されている事柄について十分な確認や検証をしたものではありません。
 
 

  • 患者様のための情報提供サイトではありません。
  • 医師、看護師、その他の医療従事者のための情報提供サイトではありません。
  • 研究者、大学教職員、大学院生、学生のための情報提供サイトではありません。

 
 
したがいまして、このサイトは私のためのネットノートなので、読みにくかったり誤りもあるかもしれません。
その際はご指摘いただけると嬉しく思います。
このホームページに掲載している図表、画像、文章に関しての転載、複写は自由ですが、いかなる結果が生じても責任を負えませんことを予めご承知おきください.
 
 
なかなか、まとめが進んでおらずリンクが機能していないページがあったり、書きかけのページがあったりします. 日々、アップデートしております.
 
 

クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
この 作品 は クリエイティブ・コモンズ 表示 - 改変禁止 4.0 国際 ライセンスの下に提供されています。

Valid XHTML 1.0 Strict

 
  
 

著者: Satoshi Takemoto Satoshi Takemoto

Created: 2017-01-26 木 20:39

Emacs 25.1.1 (Org mode 8.3.6)

Validate