気分障害について考える ; F32 うつ病エピソード
目次
1 はじめに
ICD-10 による気分障害 [F30-F39] の分類は以下のように分類されている.
ここでは、下記分類のうち主に「F32 うつ病エピソード」について取り上げる.
大分類 | 詳細コード | 中分類 | 小分類 | 補足説明 |
---|---|---|---|---|
F30 躁病エピソード | F30.0 | 軽躁病 | ・3段階の重症度が示されている. | |
F30.1 | 精神病症状を伴わない躁病 | ・高揚した気分、身体的、精神的活動性の量と速度の増加が特徴. | ||
F30.2 | 精神病症状を伴う躁病 | |||
F30.8 | その他の躁病エピソード | |||
F30.9 | 躁病エピソード | 詳細不明 | ||
F31 双極性感情障害<躁うつ病> | F31.0 | 双極性感情障害 | 現在軽躁病エピソード | ・気分と活動水準が著しく乱されるエピソードを繰り返すのが特徴. |
F31.1 | 双極性感情障害 | 現在精神病症状を伴わない躁病エピソード | ||
F31.2 | 双極性感情障害 | 現在精神病症状を伴う躁病エピソード | ||
F31.3 | 双極性感情障害 | 現在軽症又は中等症のうつ病エピソード | ||
F31.4 | 双極性感情障害 | 現在精神病症状を伴わない重症うつ病エピソード | ||
F31.5 | 双極性感情障害 | 現在精神病症状を伴う重症うつ病エピソード | ||
F31.6 | 双極性感情障害 | 現在混合性エピソード | ||
F31.7 | 双極性感情障害 | 現在寛解中のもの | ||
F31.8 | 双極性感情障害 | その他の双極性感情障害 | ||
F31.9 | 双極性感情障害 | 詳細不明 | ||
F32 うつ病エピソード | F32.0 | うつ病エピソード | 軽症うつ病エピソード | ・集中力と注意力の減退 |
F32.1 | うつ病エピソード | 中等症うつ病エピソード | ・自己評価と自信の低下 | |
F32.2 | うつ病エピソード | 精神病症状を伴わない重症うつ病エピソード | ・罪責感と無価値感 | |
F32.3 | うつ病エピソード | 精神病症状を伴う重症うつ病エピソード | ・将来に対する希望のない悲観的な見方 | |
F32.8 | うつ病エピソード | その他のうつ病エピソード | ・自傷、自殺の観念や行為 | |
F32.9 | うつ病エピソード | うつ病エピソード,詳細不明 | ・睡眠障害、食欲不振 | |
F33 反復性うつ病性障害 | F33.0 | 反復性うつ病性障害 | 現在軽症エピソード | ・F32.0,F32.1,または F32.2,F32.3 のエピソードに特定されるうつ病の |
F33.1 | 反復性うつ病性障害 | 現在中等症エピソード | エピソードが反復し、躁病(F30.1,F30.2)の診断基準を満たす気分高揚 | |
F33.2 | 反復性うつ病性障害 | 現在精神病症状を伴わない重症エピソード | と過活動性の独立したエピソードの病歴を欠くことによって特徴づけら | |
F33.3 | 反復性うつ病性障害 | 現在精神病症状を伴う重症エピソード | れる. | |
F33.4 | 反復性うつ病性障害 | 現在寛解中のもの | ||
F33.8 | 反復性うつ病性障害 | その他の反復性うつ病性障害 | ||
F33.9 | 反復性うつ病性障害 | 詳細不明 | ||
F34 持続性気分[感情]障害 | F34.0 | 持続性気分[感情]障害 | ・持続性かつ通常波動性の気分障害 | |
F34.1 | 気分循環症<Cyclothymia> | ・軽躁病エピソード、軽症うつ病エピソードになるほど重症になることは | ||
F34.2 | 気分変調症<Dysthymia> | 、たとえあったとしても稀である. | ||
F34.8 | その他の持続性気分[感情]障害 | |||
F34.9 | 持続性気分[感情]障害,詳細不明 | |||
F38 その他の気分[感情]障害 | F38.0 | その他の単発性気分[感情]障害 | ・F34.0 あるいは気分変調症(F34.1)の診断基準を満たすほど重症では | |
F38.1 | その他の反復性気分[感情]障害 | ないか長く持続しないが、持続性感情障害のための残遺カテゴリ. | ||
F38.8 | その他の明示された気分[感情]障害 | |||
F39 詳細不明の気分[感情]障害 |
2 感情障害または気分障害とは何か
気分障害(mood disorder)は、病的な気分とそれに関連した病像を特徴とする多数の疾患群を包含する.
ICD-10 では以下の様に定義されている.
気分(感情)障害における基本障害は、気分または感情の変化で、それは通常は抑うつ(不安を伴うことも伴わないこともある)または高揚の方向へ向かう.この気分変化は、通常活動レベルの全般的な変化を伴い、その他の症状のほとんどはこういった気分と活動性の変化から二次的に生じたものか、あるいはそれらとの関連で容易に理解できるものである.これらの障害の大部分は反復性に起こる傾向があり、個々のエピソードの発症にはストレスとなる出来事または状況が関連していることが多い.
- 気分障害は気分(感情)と欲動の障害を主徴とする原因不明の精神病.
- 躁状態あるいはうつ状態のエピソードを繰り返すので循環精神病とも呼ばれた.
- 躁うつ病は統合失調症とならんで代表的な内因精神病とされてきた.
- 寛解期にはほぼ正常な状態に回復するのが特徴.
躁状態、うつ状態における精神、身体症状の変化を下表に示す.
2.1 躁状態とうつ状態における感情の変化
下表のとおり、躁状態とうつ状態ではまるっきり正反対の感情を示す.
下表には書かれていないが、私のこれまでの経験で言うと、うつ状態になったときの感情として、意欲低下と自責の念が顕著に現れ、周囲への批判や怒りが増強すると共に悲壮感に苛まれる.
気分 | 身体感情 | 自我感情 | |
---|---|---|---|
躁状態 | 爽快 | 好調 | 高揚 |
好気嫌 | 健康感 | 自己評価過大 | |
易刺激 | 疲れず | 自信過剰 | |
よろこび | 楽観的 | ||
うつ状態 | 憂鬱 | 不調 | 低下 |
悲哀 | 活力減退 | 自己評価過小 | |
不安 | 不健康感 | 自責 | |
苦悶 | 劣等感 | ||
無感情 | 悲観的 | ||
興味の喪失 | 絶望 | ||
喜びの喪失 |
2.2 躁状態とうつ状態における意欲・行為の変化
下表のとおりであるが、うつ状態になると家に篭りっきりになり外出が出来なくなる.
また、不安や焦燥にかられると共に上記の感情と併せてうつ状態が悪化していくと自殺企図を考えるようになる.
個人面 | 社会面 | |
---|---|---|
躁状態 | 亢進 | やりすぎ |
多弁 | 脱線 | |
多動行為 | 浪費 | |
精神運動興奮 | 外出 | |
暴力 | ||
うつ状態 | 制止 | 閉居 |
昏迷 | ||
焦燥 | 自殺 | |
徘徊 | ||
2.3 躁状態とうつ状態における思考の変化
思考は、否定的感情が増強していくなかで、すべて自分が悪いと考えるようになっていく.
また、妄想や幻聴が生じる場合がある.
形式面 | 内容面 | |
---|---|---|
躁状態 | 観念奔逸 | 誇大的 |
うつ状態 | 制止 | 微小的 |
罪責 | ||
貧困 | ||
心気(妄想) | ||
虚無妄想 | ||
2.4 躁状態とうつ状態における身体の変化
身体上は、不眠が続いたり寝汗をかいたりすると共に倦怠感や食欲低下が生じる.
あるいは、食欲増進になることもある.
身体機能 | |
---|---|
躁状態 | 不眠(早朝覚醒) |
食欲亢進 | |
性欲亢進 | |
うつ状態 | 不眠(浅眠) |
食欲低下 | |
便秘 | |
性欲低下 | |
日内変動 | |
頭重 | |
頭痛 | |
肩こり | |
しびれ | |
発汗 | |
口渇 | |
倦怠 | |
3 うつ病の種類
うつ病のエピソードは大きく分けると2種類ある.はじめにを参照
一つは、F32 うつ病エピソード、二つ目は、F33 反復性うつ病性エピソードである.
F33の反復性うつ病性エピソードは F32 うつ病エピソードの症状を繰り返すものである.
4 うつ病のパラドックス
発達の過程で、親を失ったり仲間から拒絶され続けたりするなど、ある種の好ましくない生活状況のために敏感になっていることがある。はっきりとは顕在化していない他の好ましくない状況が、同じようにうつ病に対する脆弱性を作り出していることもある。こうした外傷体験のために、後の人生で類似した状況に出会うと過敏に反応してしまうような素地ができあがる。そうした状況が起こると極端で絶対的な判断をしてしまう傾向が身につくのである
自分が知らない間に抑うつ状態を悪化させている.
重要な対人関係や職業、または他の活動の中で現実と予測とのギャップを繰り返し体験しているうちに、次第に抑うつ状態が強まってくることがある。簡単に言えば、喪失感は非現実的な高い目標と誇大的な予測の結果生じてくることがある。
真面目で努力家の人に多い.高い目標を掲げ現実との間にギャップが生じることによって喪失感に苛まれることがある.この繰り返しにより抑うつの傾向が悪化していく.
5 うつ病患者に見られる特徴
- 自責
- 罪悪感
- 否定的な考え方
- 絶望感
- 将来(未来)の否定
6 私が うつ病 から脱却するために開発した療法
20数年間 何度も繰り返してきた うつ病.
何度も開発を繰り返しながらようやく真の うつ病 治療法に辿り着いた.
私の うつ病 治療法のポイントだけを以下に記す.
- うつ のパラドックスからの開放
– 否定的感情から肯定的感情へ
– 自分のことよりも他の人への気配りが出来る
– 絶望から希望
– ひきこもりからの開放
– 食欲増進
– 思考の変化
その他にも沢山の変化がある.
詳しくは、以下のリンク先に問合せして頂きたい.
施術院 心身統合超越療法 夢心庵
7 参考文献
石丸 昌彦, & 広瀬 宏之. (2016). 精神医学特論 (放送大学大学院教材) (新訂). 放送大学教育振興会.
大熊 輝雄. (2013). 現代臨床精神医学 (改訂第12). 金原出版.
American Psychiatric Association. (2014). DSM-5 精神疾患の分類と診断の手引. 医学書院.