精神医学-ストレス関連障害
目次
1 はじめに
ストレスを伴う出来事によって精神症状が引き起こされることは日常的によく見られる。適応障害はこのような場合に用いられる診断名であり、大小さまざまな出来事への順応過程で生じる情緒や行動の障害を総称するものである。
以下の2つのうちのどちらかが原因になって起こる障害で、これらの原因となる出来事なしには起こらないと考えられるものとして、① 急性ストレス反応、② 外傷後ストレス障害、③ 適応障害 がある。
- 急性ストレス反応を引き起こすような、ストレスの非常に多い生活上の出来事
- あるいは適応障害を引き起こすような、持続的な不快な境遇をもたらす著しい生活変化
2 急性ストレス反応 (acute stress disorder ; ASD)
- 例外的に強い身体的または精神的ストレスに反応してふつうは数分 (遅くとも1時間以内) 以内に発現する
- 数時間か数日以内に症状はおさまる
- 著しく重篤な一過性の障害
2.1 症状
- 眩惑
- 抑うつ
- 不安
- 激怒
- 絶望
- 過活動
- 引きこもり
- 健忘を伴うこともある
2.2 原因
以下のような原因が考えられている。
- 患者や近親者の安全または身体的健康に対する重大な脅威 (自然災害、事故、戦闘、暴力、強姦など)など圧倒的な外傷体験
- 肉親との死別
- 自宅の火災
3 心的外傷後ストレス障害 (post-traumatic stress disorder ; PTSD)
- 外傷とは心的外傷を意味する。ストレスは強さよりも、その個人に与えた主観的反応の強さが問題になる。
- 生命や安全を脅かされるような著しく脅威的あるいは破局的な性質のもの
- 短期間のものも長期間続くものもある
例えば、自然災害 (大震災) 、人工災害 (大火など)、激しい事故、戦闘への参加、他人の変死の目撃、拷問、テロリズム、強姦などの犯罪の犠牲になること。
PTSD は、米国でベトナム帰還兵や強姦被害者が長期間にわたって精神的後遺症を示すことが社会問題になり、アメリカ精神医学会の DSM-Ⅲ で初めて一つの疾患概念として提示された。
3.1 症状
- 再体験症状 (フラッシュバック)
- 回避/麻痺症状
- 覚醒亢進症状
3.2 経過
- 外傷後数週間~数ヶ月の潜伏期間を経て発症
- 多数の例では回復が期待できる
- 多年にわたり慢性に経過し
- 持続的人格変化に移行することもある
3.3 生物学的基礎
- 健常者に比べ、海馬の体積減少
- 前・後部帯状回、扁桃体の血流低下
- 上・中前頭部血流増加または低下
4 適応障害 (adjustment disorder)
- 重大な生活の変化あるいは生活上のストレス (重い身体の病気など) の結果に対して、個人が順応していく時期に発生する障害
- 苦痛と情緒障害の状態が起こる
- 社会的機能や行為に支障を来たす
- ストレスから1ヶ月以内に発症
- 持続は6ヶ月を超えない
4.1 ストレス因
ストレス因が無ければ適応障害はおきない。
- 死別
- 分離体験
- 移住、亡命
- その他人間関係を侵すもの
4.2 症状
- 主観的な苦悩と情緒障害
- 抑うつ気分
- 不安、心配
- カルチャーショック
- 悲嘆反応
- 小児のポスピタリズム
4.3 類型
- 短期抑うつ反応 (1ヶ月以下)
- 遷延性抑うつ反応 (2年以下)
- 混合性不安抑うつ反応
5 引用文献
石丸 昌彦, & 広瀬 宏之. (2016). 精神医学特論 (放送大学大学院教材) (新訂). 放送大学教育振興会.
大熊 輝雄. (2013). 現代臨床精神医学 (改訂第12). 金原出版.
American Psychiatric Association. (2014). DSM-5 精神疾患の分類と診断の手引. 医学書院.
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