研究概要
1 はじめに
このホームページは、管理人が大学や大学院で講義を受けた内容や研究活動を通じて学んだことや自身の交通事故を通じて慢性とう痛1やうつ病を患った事柄を自身の研究活動を進めていく上で基礎的な事柄や気付いた点などをまとめています。
そのため、掲載している内容に誤りや誤解があるかもしれません。その際はご指摘やご指導を頂けると大変嬉しいです。
2 研究テーマ
管理人が研究対象としている研究テーマは、慢性疼痛と精神疾患の関わり、特にうつ病との関連を心理臨床に於ける治療法の確立について研究しています。
慢性疼痛をきっかけとするうつ病や統合失調症をはじめとする精神疾患の心理臨床の治療法には認知・行動療法2、バイオフィードバック療法3、マインドフルネス療法4、スピリチュアル療法などがあります。
しかしながら、これらの療法を単独で用いた場合の治療効果は完全ではありません。また、精神科医による投薬治療だけで完治することも難しく、新たな治療法の確立が必要です。
そこで、臨床心理学5的視点より、以下の研究テーマについて調査、研究しています。
- ①情動が及ぼす慢性疼痛やうつ病に関する研究
- ②認知療法、行動療法、マインドフルネス療法など既存療法による慢性疼痛の寛解6、完治の調査や研究
- ③トランスパーソナル・セラピーに関する研究
3 研究の動機
3.1 うつ病
うつ病の初発は1995年8月頃にうつ病と診断された。この時のうつ病は現在の ICD-10 による F32.00 (身体性症候群を伴わない軽症うつ病エピソード) であった。
時間的にも2~3週間程度で回復できた。この時は単なる精神的疲労ぐらいにしか考えていなかった。
それから8年後の2003年12月に再びうつ病と診断された。この時はかなり重症化しており、現在の ICD-10 による F32.2 (精神病症状を伴わない重症うつ病エピソード) であった。
回復までおよそ1年程時間を要した。
そして、更にその10年後の2013年6月には下記の交通事故に遭遇した。そして交通事故から2年経過した2015年1月に再びうつ病が再発し、この時の診断は、現在の ICD-10 による F33.1 (反復性うつ病性障害 現在中等症エピソード) と診断された。ほぼ10年周期で繰り返されるうつ病であったが、何故このように繰り返されるのか?そのことがとても疑問であった。
3.2 交通事故
3.3 筋筋膜性疼痛症候群
事故から半年後、自分の症状が筋筋膜性疼痛症候群であることが解った。筋筋膜性疼痛症候群の発症原因は多岐に渡るが、外部からの衝撃や外傷により 筋肉の損傷を起こすことにより発症する ことが解った。10
しかしながら、長期にわたる通院は、どこの病院でも温熱療法、低周波治療、牽引、マッサージと時間こそ10分~30分と幅があるにしても同じ内容の治療が繰り返されるだけであり、寛解、完治はせず疼痛緩和の温存療法でしかない。 この様な治療法が繰り返される原因として以下の様な原因により治療を困難にさせていると思われる。
- 画像診断による異常が存在しないこと
- 器質的障害を鑑別する以外に検出できないこと
- 痛が3ヶ月以上にわたって継続していること
- 心配、不安、恐怖、取り越し苦労により痛が悪化していること
上記の様に筋筋膜性疼痛症候群の場合、 X線撮影やMRIによる画像診断からは異常が認められない為 、 腰椎捻挫や頚椎捻挫、或いはヘルニア症状が認められれば椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症の様な診断が下され、 長期に渡る温存療法が始まる。
私も事故後通院した際、頚椎捻挫、及び、腰椎捻挫と診断され、上記の様な治療法を受けた。
しかしながら、これらの治療法においては 器質的な原因が無い ことから、 病因の特定が困難であると共に実質的なエビデンスが存在しない。
さらにこの病気が進行していくと、局所的な痛みが継続することによる治療に対する不信感や経済的な不安感などを引き起こし、うつ状況が発生すると言われている。交通事故から6ヶ月が経過した時点で腰椎の痛みは治まるどころか悪化し、整形外科だけでなく整骨院や針治療などあらゆる治療法を試したが、その効果は一時に過ぎず完治することは無かった。そして、その痛みと共に次に襲われたのが精神的な病、うつ病を発症したことである。
専門医の医師であっても筋筋膜性疼痛症候群の存在そのものを知らない事やその治療法を知らない事も疼痛を悪化させる一因 になっているものと思われる。
この様に筋筋膜性疼痛症候群、或いは、頚椎症性神経根症、頚椎症性脊髄症等の様に首の痛み、肩こり、上肢の痛み、歩行障害などが症状として表れる場合、神経学的所見の有無を確認することが重要であり、 整形外科だけでなく神経科や心療内科による検査や臨床心理士による認知療法、行動療法などが必要なのかもしれない。
以上のことから、私自身が経験していることから言える事は事故発生時からの時間経過により時間が掛かれば掛かるほど症状は悪化する事が言える為、慢性疼痛が始まる3ヶ月以内に適切な診断を下す事が寛解に繋がると言える。この事は患者自身にとっても経済的負担や治療に対する信頼面でも安心出来るのではないかと考える。 患者自身の精神的な影響を加味した臨床心理面からのアプローチ方法を考察したい。
4 研究の背景
自身が経験した慢性疼痛とうつ病に関して、慢性疼痛に対して適切な医学的治療、及び、心理臨床的治療を施すことがうつ病を予防することが出来ると考える。これは、慢性疼痛と言うのが、うつ病の前兆的シグナルと捉えることが可能であると推測する。
厚生労働省11による調査では、平成23年度に於ける、精神疾患の患者数は320万人、その内うつ病患者数が95.8万人、統合失調症患者数が71.3万人であり、うつ病と統合失調症の患者数だけでも167.1万人に達し、全体の52.2%にも及ぶ。
また、日本慢性疼痛学会によると、慢性疼痛患者数は全人口の14%~23%の患者数に及ぶと言われており、平成28年現在、日本の人口12は1億2696万3千人(総務省統計局 概算値)、その内就労者人口だけ見ても6,479万人(就業率=51%)であるから慢性疼痛患者数はかなり多いことが解る。
そして、整形外科や整骨院、整体院などに長期間に渡り通院しても慢性疼痛が完治しない場合、経済的負担や治療に対する不安感などから精神的に
もダメージを受けるのではないかと推測する。
<作成中>