臨床心理学研究法 - 質的研究法 - GTA

目次

1 はじめに

質的研究法 のところでは、質的研究法の概念を説明した。ここではさらに GTA (Graded Theory Aproach ; GTA) について詳しく述べてみたい。 GTA については 木下 康仁. (2003). 『グラウンデッド・セオリー・アプローチの実践 - 質的研究への誘い』. 弘文堂. (http://amazon.co.jp/o/ASIN/4335550898/) に詳しく書かれており、本書を参考にしている。なお、この本では、木下 康仁. (2003) 独自の修正を加えており、修正版グランデッド・セオリー・アプローチの分析技法 (Modified Grounded Theory Aproach ; M-GTA) を具体的に説明したものとなっている。それに従い、ここでは、M-GTA の要点についてまとめてみたい。

研究法には学ぶべきときがあるということである。これは何も修正版 M-GTA に限ったことではないし、質的研究法だからというわけでもなく研究法の学習一般について言えることである。しかし、敢えてこうした指摘をするのは、学習に計画性がない場合が多いからである。例えば、修士論文を書く年度に入ってから学習を始めるとか、調査を開始してから学習を始めたりする。泳法の解説書を手に水泳大会に出るようなものであり、少なくとも実際に調査に用いる前に知識してでも学習しておくよう心がけてもらいたい。いきなり本番で実践するのは無理であるし、準備が計画的でないという点では無謀と言える。

木下 康仁. (2003). 『グラウンデッド・セオリー・アプローチの実践 - 質的研究への誘い』. 弘文堂. p15-P16

2 GTA の種類

  • グレーザー方式 : 数量的方法論を共有し、言語データを厳密に分析する手法
  • ストラウス方式 : 数量的方法に頼らず、新たな理論、方法論の構築を試みる手法 (主流)
  • MGTA方式    : もっとも解りやすく整理・修正されたGTA

3 GTA の主な特性

  • GTA とはデータに密着した分析から独自の説明概念をつくって、それらによって統合的に構成された説明力にすぐれた理論である。
  • GTA とは継続的比較分析法による質的データを用いた研究で生成された理論である。
  • GTA とは人間と人間の直接的なやりとり、すなわち社会的相互作用い関係し、人間行動の説明と予測に有効であって、同時に、研究者によってその意義が明確に確認されている研究テーマによって限定された範囲内における説明力にすぐれた理論である。
  • GTA とは人間の行動、なかんずく他者との相互作用の変化を説明できる。言わば能動的説明理論である。
  • GTA とは実践的活用を促す理論である。

GTA とは実践的活用を明確に意図した研究方法として考案されたということである。

4 GTA の内容特性

  • 現実への適合性 (fitness)

研究対象とする具体的領域や場面における日常的現実に可能な限り当てはまらなくてはならない。

  • 理解しやすさ (understanding)

研究対象の領域に関心を持ったり、その領域や場面に日常的にいる人々にとって、ていじされた理論は理解しやすいものでなければならない。

  • 一般性 (generality)

研究対象とされたところの日常的な状況は常に変化しているのであるから、提示された理論にはそうした多様性に対応できるだけの一般性が求められる。

  • コントロール (control)

GTA を理解した人々が具体的領域において自ら主体的に変化に対応したり、ときには必要な変化を引き起こしていけるように、社会的相互作用やその状況をコントロールできなくてはならない。

5 引用文献

木下 康仁. (2003). グラウンデッド・セオリー・アプローチの実践 - 質的研究への誘い. 弘文堂.

著者: Satoshi Takemoto Satoshi Takemoto

Created: 2017-02-15 水 21:52

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